2018年12月22日土曜日

LinkedInは人材採用手段として有効なのか検証したカナダのセントメアリーズ大学の研究


LinkedInはビジネス特化型のSNSで、人材採用手段として使われることもあるようですが、実際にその効果はあるのでしょうか。


このことについて調べるために、PERSONNEL PSYCHOLOGYに掲載されていた論文を読んでみました。

Roulin, N., & Levashina, J. LinkedIn as a new selection method: Psychometric properties and assessment approach. Personnel Psychology.


こちらは2018年のカナダのセントメアリーズ大学の研究で、133名のビジネス学科の学生を対象として、実際の被験者のLinkedInのプロフィールの評価とその後の仕事での成功について3年間追跡して調べています。

1つの研究を3年間かけて行うとは、なかなか気合が入っていますね。研究者の熱意が伝わってきます。


LinkedInのプロフィールからは、

・性格
・ビジネススキル
・認知機能
・採用の判断(その人を採用したいかどうか)
・客観的内容(文章の長さ、写真の有無など)

がMBA保持者や論文著者によって評価されました。

ちなみに、性格、ビジネススキル、認知機能については各被験者に質問紙調査も行っており、評価者がどのような項目を評価しやすいかについても調べられています。


また、仕事での成功の指標としては、

・専門職に就いているか
・管理職に就いているか
・昇進したか
・専門職の数

が用いられました。


その結果、以下のようなことがわかりました。

・LinkedInのプロフィールからは、リーダーシップ、コミュニケーション、計画性など目に見えやすいスキルや外向性、認知機能を評価しやすい

・逆に、情報収集能力や問題解決能力などの目に見えにくいスキルは評価しにくい

・LinkedInに基づいた採用の判断は、その後の仕事での成功と有意な関連がある

・プロフィールが長かったり、写真を載せていたり、多くのつながりのあるユーザーは評価が高かった

・逆に、スキルの推奨、専門的な写真、スキルの列挙、グループの所属数は評価と関連がみられなかった


まとめると、LinkedInは外見的な能力を評価しやすく、その評価はプロフィールの長さ、写真、つながりの影響を受け、仕事での成功とも関連しているということになります。

目に見えないスキルに関しては評価しづらいものの、LinkedInは人材採用手段として有効のようですね。


LinkedInではビックファイブ(性格の5大要素)のうち、外向性や勤勉性(プロフィールの長さなどから)を評価しやすいのかと思いますが、以前に「仕事の生産性の48.1%は性格で決まる」という記事で書いたように、これらは仕事の生産性と大きく関わっています。

こういったことが評価できるツールであるからこそ、LinkedInが人材採用手段として使える要因となっているのでしょうね。


私はLinkedInを使ったことはないのですが、今回の論文を読んでみて、少し興味を持ちました。

ただ、アカウントを作るときに現在の職場などの情報を入れないといけないところが気になるところですね。

よろしければ、参考にしてください。