2018年9月1日土曜日

意外と侮れない!アイルランドのリムリック大学のメタ分析で判明した筋トレの抗うつ効果


以前に「コクラン共同計画のメタ分析で判明した、うつ病からの職場復帰を促進する介入方法」のなかで、筋トレが職場復帰に効果的であることを紹介しましたが、筋トレがもたらす抗うつ効果はどのくらいあるのでしょうか。


このことについて調べるために、JAMA Psychiatryに掲載されていた論文を読んでみました。

Gordon, B. R., McDowell, C. P., Hallgren, M., Meyer, J. D., Lyons, M., & Herring, M. P. (2018). Association of Efficacy of Resistance Exercise Training With Depressive Symptoms: Meta-analysis and Meta-regression Analysis of Randomized Clinical Trials. JAMA psychiatry75(6), 566-576.


こちらは2018年にアイルランドのリムリック大学が行った研究で、筋トレが抑うつ気分をどのくらい改善させるのか調べた33のランダム化比較試験(対象者1,877名)をメタ分析しています。


メタ分析は関連するテーマの先行研究をまとめて定量的に評価したものなので信頼性が高くなります。

さらに、今回扱った先行研究はランダム化比較試験というエビデンスの高い介入研究に限定しているため、よりいっそう信頼性は高くなっています。


結果はどうなったかというと、

・筋トレが抑うつ症状の改善にもたらす効果量(Hedges d)は0.66 (95%CI 0.48-0.83)

・筋トレの負荷、被験者の健康状態、筋力の改善は、抑うつ気分の改善と関係なかった

となりました。


効果量の目安は、0.3で「小さい」、0.5で「中程度」、0.8で「大きい」効果があるとされています。


つまり、筋トレには中程度以上の抗うつ効果があることになります。

これは侮れない結果です。


確かに言われてみれば、精神科の外来や産業医面談でマッチョな人ってほとんど見かけないです。

もしかしたら、それは筋トレの効果だったのかもしれません。


しかも、今回の研究で筋トレの負荷や筋力の改善は関係ないことがわかったわけですから、気分の改善のためにキツくて辛い筋トレをしなくてもいいということになります。

これは初心者でも始めやすいですね。


というわけで、抑うつ気分を普段の生活習慣から改善したい方は、気軽に取り組みやすい筋トレから始めてみてはいかがでしょうか。