2018年9月26日水曜日

頭の良さや経験だけではない!ジョージア大学のメタ分析で判明した、給料が上がりやすい個人と組織の特徴




 「収入を増やしたい!」という思いは誰もが抱くものですが、給料が上がりやすい個人と組織にはどのような特徴があるのでしょうか。


このことについて調べるために、Personnel Psychologyに掲載されていた論文を読んでみました。

Ng, T. W., Eby, L. T., Sorensen, K. L., & Feldman, D. C. (2005). Predictors of objective and subjective career success: A meta‐analysis. Personnel psychology58(2), 367-408.

こちらは2005年のジョージア大学の研究で、給料と個人・組織の特徴との関連についてメタ分析を行っています。


メタ分析とは、関連するテーマの先行研究を集めてきて、定量的に評価する研究手法のことで、科学的な信頼性としてはレベルが高くなります。


この研究では、個人・組織の特徴を以下の4つに大きく分類しています。

・人的資本
・組織の後援
・基本属性
・個人の傾向


そして、これらの細項目と給料との相関の効果量を求めています。



相関の効果量の目安としては、0.10で「小さい」、0.30で「中程度」、0.50で「大きい」効果があるとされています(Cohen, 1988)。


では、結果についてみてみましょう。

人的資本
・労働時間 0.24
・仕事での重要なポジション 0.12
・仕事の勤務期間 0.07
・組織の所属機関 0.20
・仕事の経験 0.27
・転勤のしやすさ 0.11
・国際経験 0.11
・教育レベル 0.29
・キャリア設計 0.11
・政治的な知識とスキル 0.29
・人脈 0.17

組織の後援
・キャリア・サポート 0.22
・上司のサポート 0.05
・研修の機会 0.24
・組織の資源 0.07

基本属性
・男性 0.18
・白人 0.11
・結婚 0.16
・年齢 0.26

個人の傾向
・神経症傾向 -0.12
・勤勉性 0.07
・外向性 0.10
・協調性 -0.10
・好奇心旺盛 0.04
・前向き 0.11
・統制の所在 0.06
・認知機能 0.27


効果量としてはどれも統計的に有意となりましたが、特に効果量が大きかったものは、仕事の経験、教育レベル、政治的な知識とスキル、認知機能でした。


つまり、頭が良く、経験豊富で、したたかな人は給料が上がりやすいということになります。


確かに、面識のあるお金持ちの方々を想像してみると、よく当てはまる気がします。

「みんなの役に立ちたいから」とか言いつつ、ガッチリ儲けているんですよね。

まぁ、それ自体が悪いとは思いませんが。


こういった方々は周囲の状況や相手のニーズをうまく把握して適切に対処できるので、周りからの評価も高くなり、給料の上がりやすさにもつながるのでしょう。


給料を上げたい方は、仕事の実力をつけるだけでなく、したたかさも意識してみてはいかがでしょうか。


参考図書としては、バルタザール・グラシアンの「賢く生きる智恵」は役に立つかもしれません。


参考文献:
Cohen, J. (1988). Statistical power analysis for the behavioral sciences 2nd edn.