以前に、「休暇による仕事のパフォーマンス改善効果は4週間でなくなるが、なるべく長続きさせるには2つのポイントがある」という記事を書きましたが、日々の休息時間はメンタルにどのような影響をもたらすのでしょうか。
このことについて調べるために、Journal of Occupational Healthに掲載されていた論文を読んでみました。
Kubo, T., Izawa, S., Tsuchiya, M., Ikeda, H., Miki, K., & Takahashi, M. (2018). Day-to-day variations in daily rest periods between working days and recovery from fatigue among information technology workers: One-month observational study using a fatigue app. Journal of occupational health, 2018-0073.
こちらは2018年のJapan NIOSHの研究です。
Japan NIOSHとは、労働者の健康や安全を守るための研究を行っている独立行政法人です。
日本語だと労働安全衛生総合研究所といいますが、もともとはアメリカで最初に創設された組織なので、日本の組織のことをいうときは「Japan」という言葉が入ります。
そんなJapan NIOSHが今回どのような研究を行ったかというと、情報技術会社の労働者55名を対象として、平日の休息時間とメンタルの状態の関連について、アプリや活動量計を用いて調査しています。
ちなみに、ここでいう休息時間とは、その日の仕事が終わってから次の日の仕事が始まるまでの期間のことをいいます。
この研究では、平日のみを対象としていて、週末の休息時間は除外されています。
メンタルの状態については、
①睡眠時間
②睡眠効率
③疲労感
④仕事から離れている感覚
⑤覚醒度
という項目について調べています。
③と④の評価についてはVASスケールというものが用いられ、100mmの線分のなかで今の自分がどのあたりにいるのか示してもらっています。
例えば、全く疲労感がないなら0、これ以上ないくらい疲労を感じていたら100といった感じです。
では、結果はどうなったかというと、
・1日の休息時間が1時間増えると、睡眠時間は15分長くなり、疲労感は3.4mm、仕事から離れている感覚は2.6mm改善した
・ただし、睡眠効率や覚醒度には有意な差はみられなかった
となりました。
つまり、休息時間が増えると、睡眠を長くとれるようになり、疲労感は減って、オンとオフの切り替えもしやすくなるということになります。
結果としては想定しやすいですが、定量的にどのくらい改善するのかという目安を知ることができたのは大きいですね。
個人的には疲労感の改善が小さいように感じましたが、増えた休息時間があまり睡眠に充てられていないからかもしれません。
日々の休息時間をどのように活用するとメンタルの改善効果が高いのかということも気になるところですね。
今後の研究にも注目していきたいです。