2018年10月3日水曜日

オープンオフィスはパーティション型と比べて身体活動が20%多く、主観的なストレスが9%低いというアリゾナ大学の研究


職場のメンタルヘルスを考えるとき、「職場環境」としては人間関係や周囲のサポートなどの心理的要因に着目しやすいですが、物理的要因による影響はどの程度存在するのでしょうか。


このことについて調べるために、Occupational Environmental Medicineに掲載されていた論文を読んでみました。



こちらは2018年のアリゾナ大学の研究で、アメリカ連邦政府の職員231名を対象に、オフィスのタイプと健康状態の関連について調べています。


オフィスのタイプとしては、

・オープン型(区切りのないタイプ)
・パーティション型(区切りのあるタイプ)
・個室型

の3つに分類されました。


健康状態としては、

・身体活動
・主観的なストレス
・生理的なストレス反応(心拍変動)

の3つが調査されています。

ちなみに、身体活動量や生理的なストレス反応はウェアラブル・デバイスを用いて評価されています。

生理的なストレス反応としては心拍変動が用いられていますが、これはその名の通り、心拍の時間間隔の変動を測定しています。

健康な状態だと心拍変動は大きくなりますが、精神的な負荷がかかると心拍変動は小さくなります。


わかったこととしては、

・オープン型は、パーティション型や個室型よりも身体活動が多い(それぞれ平均で20.2%、31.8%)

・オープン型は、パーティション型と比べて主観的なストレスが9.1%低い

・身体活動が平均より多い人たちは、平均より低い人たちと比べて、職場外での生理的なストレスが14.2%低い(ただし、職場内では有意な関連はみられない)

となりました。


オープンオフィスは心身ともに健康に良さそうですね。

個人的には、オフィスタイプで身体活動にこんなに差が出るとは驚きでした。

活動量が増えて、座りっぱなしが少なくなることもメンタルに良い影響が与えているのかもしれません。


「オープンオフィス、最高!」

と言いたいところですが、実はそうとも限りません。

先行研究では、オープンオフィスは注意力、生産性、創造的思考、満足度に悪影響があることが指摘されています(Davis et al., 2011)。

要は、周りのことに気が散ってしまい、仕事に集中しにくいのです。


一長一短あって悩ましいところですが、職場でのニーズに応じて、オフィスタイプを使い分けるのが現実的でしょうか。

参考になればご活用ください。


参考文献:
Davis, M. C., Leach, D. J., & Clegg, C. W. (2011). 6 The Physical Environment of the Office: Contemporary and Emerging Issues. International review of industrial and organizational psychology26(1), 193-237.