2018年10月6日土曜日

仕事のことを考えて眠れない日が多いと22%休職しやすいというスウェーデンのカロリンスカ医科大学の研究


産業医面談をしていると、「仕事のことが気になって眠れない」という方々が結構いらっしゃるのですが、そのような方々の休職リスクはどのくらいあるのでしょうか。


このことについて調べるために、International Archives of Occupational and Environmental Healthに掲載されていた論文を読んでみました。

Svedberg, P., Mather, L., Bergström, G., Lindfors, P., & Blom, V. (2018). Time pressure and sleep problems due to thoughts about work as risk factors for future sickness absence. International Archives of Occupational and Environmental Health, 1-9.


こちらは2018年のスウェーデンのカロリンスカ医科大学の研究で、16,127名の双子を対象として、仕事によるタイムプレッシャーと不眠、その後の休職の発生の関連について、オンライン調査を行っています。


仕事によるタイムプレッシャーと不眠については、それぞれ以下のように質問されました。

・「やることが多すぎて、昼食を抜いたり、残業したり、仕事を家に持ち帰ったりしていますか」

・「ここ3カ月間で、仕事のことを考えて眠れない日はありましたか」


そして、これらの質問に「週1回以上」と答えたグループと「月2回以下」と答えたグループに分けて、休職の発生リスクを比べています。


結果はどうなったかというと、

・仕事によるタイムプレッシャーは、休職との関連がみられなかった

・仕事のことを考えて眠れないと、22%休職しやすい

・特に、州の職員が仕事のことを考えて眠れないと、54%休職しやすい

・遺伝的な要因は、タイムプレッシャー、不眠、休職の関連に影響を与えなかった

となりました。


タイムプレッシャーが休職と関連しなかったのはちょっと意外でしたが、やはり睡眠が確保できないと、休職にも影響してきますね。

特に、大きな組織の公務員である、州の職員でその傾向が強いようです。

大きな組織ほど仕事内容が形式的に分かれてくるので、与えられた仕事を「やらなければならない」という意識が強くなるのかもしれません。


いずれにしても、仕事が気になって眠れないことは休職リスクともつながっていることがわかったので、今後の面談ではその頻度についても確認していきたいです。