巷では、血液型と性格に関連があるような話を時々耳にしますが、科学的にみると、その関連性はどうなっているのでしょうか。
このことについて調べるために、PLOS ONEに掲載されていた論文を読んでみました。
Tsuchimine, S., Saruwatari, J., Kaneda, A., & Yasui-Furukori, N. (2015). ABO blood type and personality traits in healthy Japanese subjects. PloS one, 10(5), e0126983.
こちらは2015年の弘前大学の研究で、1,427名の健康な被験者を対象として、血液の遺伝子型・表現型と性格の関連について調べています。
血液型はA,B,Oの組み合わせで決まっているので、遺伝子型はAA,AO,BB,BO,OO,ABの6つになります。
血液の表現型とは、おなじみのA,B,O,ABの4つです。
性格については、気質性格検査というものが用いられ、以下の7つの項目について測定されました。
・行動促進(新規希求性)
・行動制御(危険回避)
・行動維持(他者への依存性)
・行動持続(忍耐力)
・自己志向(自立性)
・協調志向(協調性)
・自己超越(直感力)
これらの項目と血液型との関連が調べられたのですが、主な結果としては以下のようになりました。
・血液型の遺伝子型・表現型のどちらでも、忍耐力に有意な差がみられた
・遺伝子型では、忍耐力はAA型>BB型>AO型>AB型>OO型>BO型の順に高い
・表現型では、忍耐力はA型>AB型>B型=O型の順に高い
・ただし、効果量は小さい(偏η二乗 0.01)
統計的には、血液型と忍耐力の関連が示唆されますが、効果量としてはその関連は弱そうな結果となっています。
実は、血液型と性格に関連がないことは、かなり前の先行研究でも指摘されており(Rogers & Glendon, 2003)、今回の大規模な日本人調査でもそれを大きく覆す結果にはならなかったようです。
巷では、「A型は几帳面」「B型はマイペース」「O型はおおらか」「AB型は変わり者」などといわれますが、今のところ、そのようなことは科学的根拠に乏しいため、血液型で人を判断するのは控えたほうがよろしいかと思います。
参考文献:
Rogers, M., & Glendon, A. I. (2003). Blood type and personality. Personality and Individual Differences, 34(7), 1099-1112.