2020年12月29日火曜日

コロナワクチンを打つ前には、その副作用について理解を深めたい

 


海外ではコロナのワクチン接種が始まっている。



有効性を示すデータも出てきて、感染拡大防止への有力な手段として注目が集まる。



製薬企業との契約内容を見ると、日本でも来年前半にはワクチン接種が始まるだろう。





ここで気になってくるのは、副作用の問題である。



今回はmRNAワクチンやベクターワクチンなど新しい手法を用いて開発されている。



いくら効果があっても副作用に対する不安があっては、なかなか接種は進まない。



そこで、いち早く世界で接種が開始されたファイザー・ビオンテックのワクチン(BNT162b2)の副作用について調べてみた。





参考になるのは、NEJMに掲載されたBNT162b2の第Ⅲ相試験の結果である(Polack et al., 2020)。



こちらの研究では、16歳以上の被験者43,448名をワクチン投与群21,720名と生理食塩水(プラセボ)投与群21,728名に分けて、コロナの感染予防効果や副作用について調査している。



メディアでもよく報道されていたためご存知の方も多いと思うが、このワクチンの有効率は95%であった。



年齢・性別・人種ごとに見ても、有効率は90-100%となっており、幅広い層に有効性が確認できている。




では、気になる副作用はどのような結果となったのだろうか。



16-55歳の被験者が2回目のワクチンを打って7日後までに出た副作用トップ5がこちらである。



・刺入部の痛み 78% (プラセボ群14%)


・倦怠感 59% (プラセボ群23%)


・頭痛 52% (プラセボ群24%)


・筋肉痛 37% (プラセボ群8%)


・悪寒 35%(プラセボ群4%)



どれも軽度〜中等度の症状がほとんどで、日常生活に支障をきたすのは数%程度だったようである。



項目別に見ると、刺入部の痛み・筋肉痛・悪寒はプラセボ群と大きく離れているのでワクチンの影響が考えられるが、倦怠感や頭痛はプラセボ群でもそれなりにみられているのでメンタル的な影響もありそうである。





重篤な副作用があまりみられなかったのは良いことではあるが、この研究の限界も存在する。



1つはワクチンの短期的な影響しかみれていないことである。



まだ完成して間もないワクチンであるため、長期的にどのような影響が出るかについては今後の研究でみていくしかない。





もう1つは日本人を含むアジア人が研究対象として少ないことである。



白人・黒人が被験者の9割以上を占めており、アジア人は4.3%しか含まれていない。



コロナ感染がアジアで少ないように、ワクチンの効果・副作用も人種によって変わってくるかもしれない。



コロナワクチンの治験は日本でも行われているため、その結果にも今後注目していきたい。





ワクチン接種前のご参考までに。