2021年1月24日日曜日

2020年の自殺者数をみると、コロナの影響を考慮せずにはいられない

 


2020年の自殺者速報が出た。



20,919名とのこと。11年ぶりの増加である。



コロナを抑えるために経済活動も制限されているが、失業率は自殺率と密接な関連があることが報告されている(Motohashi, 2011)。



コロナによって経済が悪化し、自殺が増えた可能性は否定できない。





慶應大学の論文をみると、さらに参考になる(Nomura et al., 2021)。



この研究では、201012〜20209月の警察庁のデータをもとに、月別自殺者数の予測モデルを作成し、20161〜20209月までの実際の月別自殺者数と比較している。



そこでわかったのは、以下のようなことである。



・2020年7月以降、女性の自殺者数は予測範囲を超えて増加しており、前年同月と比較して20-30%増となっている





どうも女性の自殺が深刻なのだ。



この原因としては、



・外出自粛生活が増えたことによる家庭内暴力の増加


・非正規雇用が多いことによって生じる仕事の減少や解雇などの経済的問題



といったことが論文の考察で挙げられている。どちらも十分あり得る話である。





社会的サポートを充実させていくなどの対策が必要となってくるが、コロナの感染対策が自殺の増加につながりかねないというのは嫌な話である。



感染対策と自殺対策、これから難しい舵取りになりそうだ。