モデルナのワクチン接種を行った8日後、それは突然現れた。
週末の職域接種業務を終えて帰宅し、シャワーを浴びてリラックスしているとき、ふと左肩に掻痒感があることに気がついた。
視線をそちらに向けてみると、10cm大の紅斑が出現しているではないか。
一体これは何なのか?
何も知らない状態でこの紅斑が出現したら、さぞかし驚いたことだろう。
「え!?ヤバッ!!何これ!?1週間経って出るってどういうこと!?」と慌てふためいていたことが容易に想像できる。
しかし、私は職域接種業務に携わるために事前に情報収集していたことで、これが何であるかすぐに理解した。
ははん、これがモデルナアームかと。
参考になるのは、2021年3月にニューイングランドジャーナルに掲載された論文である(Blumenthal et al., 2021)。
こちらの論文では私と同じようにモデルナのワクチン接種後にモデルナアームが出た12名について症例報告している。
どうやらワクチンの臨床試験の段階で、1回目の接種後に0.8%、2回目の接種後に0.2%の人にモデルナアームが起きることがわかっていたようである。
詳しいメカニズムはまだわかっていないが、免疫細胞のリンパ球や好酸球を介した過敏反応が起きていると考えられている。
論文の症例12名では、1回目のワクチン接種から平均8日(4-11日)で発症し、平均6日(2-11日)で治癒に至っている。
2回目のワクチン接種も12名全員受けたが、6名は再発せず、3名は同じような反応が出現し、残りの3名は1回目より軽い反応が出たと報告している。発症時期はワクチン接種後平均2日(1-3日)で、1回目より短かった。
2回目のほうがより強い反応が出そうなイメージがあるが、意外とそういうわけでもないようである。
私のモデルナアームもステロイド外用薬を塗布して経過観察していたところ、発症3日目から改善傾向がみられ、発症後9日目にはほとんど目立たなくなった。
ステロイド外用薬は、プレドニゾロン甘草酸エステル、ヒドロコルチゾン酪酸エステル、ベタメタゾン吉草酸エステルをローテーションして試してみたが、外用薬で改善したのか自然経過で改善したのかよくわからなかった。
2回目の接種後にどのような反応が出るかも注目していきたい。
モデルナのワクチンは今年5000万回分が日本に供給予定であることを考えると、2500万人が接種して、そのうちの0.8%である20万人くらいにモデルナアームが出る計算になる。
私の周りでも同じような反応が出たという声も聞くので、日本では実際にもっと多くの方々が経験することになるかもしれない。
何の事前情報もなくモデルナアームに出くわしたときは心配になるだろうが、1週間程度で改善するものなので落ち着いて対処していただきたい。