2018年6月6日水曜日

裁量権を与えて創造性を高めるためには職場でのリソースや自己効力感が必要だというオハイオ州立大学の研究



裁量権があれば創造性は高まりそうに思いますが、果たして一概にそう言えるものなのでしょうか。

このことについて調べるために、Journal of Occupational and Organizational Psychologyに掲載されていた論文を読んでみました。

Zhang, S., Ke, X., Frank Wang, X. H., & Liu, J. (2018). Empowering leadership and employee creativity: A dual‐mechanism perspective. Journal of Occupational and Organizational Psychology.

こちらはオハイオ州立大学の研究で、中国の国営石油会社に勤める労働者207名を対象に縦断的にアンケート調査を行い、裁量権と創造性の間には何が媒介するのかについて確証的因子分析しています。


結果としては、裁量権と創造性の間を媒介するものとして、職場でのリソースと自己効力感が認められました。

つまり、困ったときのサポート資源や「自分はこの職場で重要な役割を担っている」といった感覚が媒介しているということです。


これは、職場のメンバーの創造性を活かしたいと考えたときに、ただ単に「好きなようにやっていいぞ」と裁量権を与える指示を出すだけでは不十分であることを意味します。

本当に創造性を高めたいときにすべきことは、困ったときにいつでも頼りになるような支援体制や、メンバーが「自分はこの職場の役に立っている」と思えるような職場環境を整えたうえで、裁量権を与えることが重要となってくるのです。


職場での自己効力感を高めるマネジメントとしては、仕事の意義を伝えたり、意思決定の場に参加させたり、メンバーの能力を信頼していることを伝えたり、形式的な手続きを省いたりすることが必要であると著者は指摘しています。

研究対象者の属性が偏っているため一般化まではできませんが、メンバーの創造性を高めたい方は参考にしてみてはいかがでしょうか。