2018年6月2日土曜日

職場の生産性を上げるには上司への信頼ではなく上司からの信頼が必要であるというフロリダ工科大学の研究


仕事を進めていくうえで上司との信頼関係は大切ですが、上司への信頼と上司からの信頼が仕事に与える影響の違いは気になるところです。

そこで、Journal of Business and Psychologyに掲載されていた論文を読んでみることにしました。

Skiba, T., & Wildman, J. L. (2018). Uncertainty Reducer, Exchange Deepener, or Self-Determination Enhancer? Feeling Trust Versus Feeling Trusted in Supervisor-Subordinate Relationships. Journal of Business and Psychology, 1-17.

こちらはフロリダ工科大学の研究で、208名の労働者を対象にオンライン調査を行い、上司への信頼、上司からの信頼、転職の意向、生産性の関係を確証的因子分析を用いて調査しています。


どういう結果だったかというと、
・上司への信頼は上司からの信頼との相互作用で職場の不確実性を減らして転職の意向を改善する
・上司からの信頼は返報性や裁量権を高めて仕事の生産性を上げる
ということがわかりました。


つまり、転職の意向には上司への信頼と上司からの信頼の両方が関わっており、生産性には上司からの信頼が中心的に関わっていることになります。

ということは、上司が自分の職場の生産性を考えるとき、「自分は部下から信頼されているから大丈夫」と有頂天になるのは誤りであり、本当に考えるべきは「自分がどれだけ部下を信頼できるか」ということになります。

上司が自ら率先していく組織よりも部下が裁量権を発揮して動いていく組織のほうが生産性が高いということにも通じますね。

ぜひ職場のマネジメントの参考にしてみてください。