2018年6月13日水曜日

仕事への不安があっても同僚へのサポートを保つ鍵は反芻思考のコントロールにあったというバージニア工科大学の研究



仕事の不安があると、同僚へのサポートが減ってしまいそうな印象がありますが、果たして実際にそうなのでしょうか。もしそうだとしたら何か対策はあるのでしょうか。

このことについて調べるために、Journal of Occupational and Organizational Psychologyに掲載されていた論文を読んでみました。

Calderwood, C., Bennett, A. A., Gabriel, A. S., Trougakos, J. P., & Dahling, J. J. (2018). Too anxious to help? Off‐job affective rumination as a linking mechanism between work anxiety and helping. Journal of Occupational and Organizational Psychology.

こちらはバージニア工科大学の研究で、カナダの教育系でない大学職員を対象に、仕事の不安、反芻思考(同じことをくよくよ考えること)、同僚へのサポートの関係について縦断的に調査しています。

この調査は、167名の職員が解析対象となり、仕事への不安と反芻思考については本人が質問紙で回答し、同僚へのサポートは本人の同僚が質問紙で評価しています。


結果はどうだったかというと、
・仕事の不安が大きくなると反芻思考が強くなった
・反芻思考が強くなると同僚へのサポートが少なくなった
・しかし、仕事への不安と同僚へのサポートには直接的な関連はみられなかった
となりました。


つまり、仕事への不安は反芻思考を介して間接的に同僚へのサポートに影響を与えているということです。

ということは、反芻思考をうまくコントロールできれば、仕事への不安があっても同僚へのサポートを維持できるということになります。


では、反芻思考はどのようにしたら改善できるでしょうか。

先行研究では、運動、瞑想、筆記開示などの有効性が示されています(Alderman et al., 2017;Jain et al., 2007;Gortner et al., 2006)。

筆記開示とは、自分の思い浮かんだ感情をあるがままに文字にしていくことをいいます。紙に書いてもいいですし、パソコンに打ち込んでも構いません。

先行研究のなかには1回20分の筆記開示を3日連続で行っただけで半年後の抑うつ症状が有意に改善したと報告しているものもあり、メンタル改善方法として注目されています。

私もこれらの方法を試していますが、余計なことを考えずに今現在のことに集中したり、自分の考えを整理したりすることに役立っていると実感しています。

興味のある方はぜひ試してみてください。

参考文献:
Alderman, B. L., Olson, R. L., Brush, C. J., & Shors, T. J. (2017). MAP training: combining meditation and aerobic exercise reduces depression and rumination while enhancing synchronized brain activity. Translational psychiatry6(2), e726.
Gortner, E. M., Rude, S. S., & Pennebaker, J. W. (2006). Benefits of expressive writing in lowering rumination and depressive symptoms. Behavior therapy37(3), 292-303.
Jain, S., Shapiro, S. L., Swanick, S., Roesch, S. C., Mills, P. J., Bell, I., & Schwartz, G. E. (2007). A randomized controlled trial of mindfulness meditation versus relaxation training: effects on distress, positive states of mind, rumination, and distraction. Annals of behavioral medicine33(1), 11-21.