2018年9月22日土曜日

トロント大学の研究で判明!フライトまでのイラつきを生じさせやすい環境ストレス


飛行機に乗るときって結構イライラしやすいなぁと個人的に感じているのですが、実際のところ、どのような環境がストレスになっているのでしょうか。


このことについて調べるために、Personnel Psychologyに掲載されていた論文を読んでみました。

DeCelles, K. A., DeVoe, S. E., Rafaeli, A., & Agasi, S. Helping to reduce fights before flights: How environmental stressors in organizations shape customer and customer‐employee interactions. Personnel Psychology.


こちらは2018年のトロント大学の研究で、ある大きな北米の国際空港の117のフライトを観察し、飛行機搭乗前の乗客のイラつきと環境ストレスの関連について調べています。


環境ストレスとして挙げられたのは以下のような項目になります。

状況によるストレス
・保安検査の待ち時間
・出発ゲートにたどり着くまでの時間
・売りすぎた航空券の数
・クエスチョン・カウンターへの行列
・乗客が並び始めた時間
・フライトの遅れ

生理的なストレス
・出発ゲートの雑音
・赤ちゃんの泣き声
・主観的な気温
・主観的な混雑
・乗客の数


ちなみに、乗客のイラつきとしてどんなものがあったかというと、スタッフに対して、

・大きくため息をつく
・目をグルグル回す

といった軽度のものから、

・こぶしをカウンターに叩きつけて、ゲートスタッフをどなりののしる

・ラウンジに携帯を忘れたから取りに戻るまで飛行機をとめておいてほしいという要望を断ったスタッフに対して、水の入ったペットボトルを投げる

といった、救いようのない愚かな行為まであったそうです。


では、結果についてみてみましょう。

乗客のイラつきと環境ストレスに有意な相関がみられたのは以下のような項目でした。

・クエスチョン・カウンターへの行列(相関係数 0.45)
・乗客が並び始めた時間(相関係数 0.23)
・天候以外でのフライトの遅れ(相関係数 0.16)
・赤ちゃんの泣き声(相関係数 0.23)


相関係数の目安としては、0.2~0.4で「弱い」、0.4~0.7で「中等度」、0.7~1で「強い」相関があると考えられています。

一番強い相関がみられたのは、クエスチョン・カウンターへの行列でしたね。

何らかの疑問や不満など抱いて行列ができているので、当然の結果ではあります。


個人的に印象的だったのは、赤ちゃんの泣き声とフライトの遅れです。

フライトの混み具合よりも赤ちゃんの泣き声のほうが、乗客のイラつきに与える影響が大きいのは意外でした。

最近クワイエット・ゾーンをもうける航空会社も出てきているのは納得ですね。


また、フライトの遅れはその原因が人為的かどうかによって、乗客のイラつきが異なるようです。

大事なのは時間がどれだけ遅れたのかのはずなのに、天候が悪ければ「まぁ仕方ないか」と考える一方で、人為的な問題であれば「何やってんだ!早くしろ!」と考えてしまうようですね。

ストレス反応は、物事の意味付けや解釈で変わってくることをよく物語っています。


よろしければ参考にしてください。