職場でリーダーシップ研修が行われているところも多いかと思いますが、そもそもリーダーシップは仕事にどのような影響を与えるのでしょうか。
このことについて調べるために、Journal of Occupational and Environmental Medicineに掲載されていた論文を読んでみました。
Kuoppala, J., Lamminpää, A., Liira, J., & Vainio, H. (2008). Leadership, job well-being, and health effects—a systematic review and a meta-analysis. Journal of occupational and environmental medicine, 50(8), 904-915.
こちらは2008年のフィンランド財務省の研究で、リーダーシップと仕事との関連についてメタ分析しています。
メタ分析とは、関連するテーマの先行研究を集めてきて、定量的に評価する手法のことで、複数の研究をまとめた結果となっているため、研究の信頼性は高くなります。
この研究では、リーダーシップを以下のように分類してメタ分析しています。
・配慮型:組織公正を重視したリーダーシップ
・支援型:サポートを提供していくリーダーシップ
・変革型:相手や状況に合わせたリーダーシップ
そして、仕事の関連項目としては以下のようなものが調査されました。
・仕事の満足度
・仕事上の健康状態
・仕事の生産性
・休職
・障害年金取得
それでは、リーダーシップと仕事との関連のリスク比をてみてみましょう。
リーダーシップ全体
・仕事の満足度 2.23 (1.39 to 3.51)
・仕事上の健康状態 1.40 (1.36 to 1.57)
・仕事の生産性 1.13 (0.55 to 1.20)
・休職 0.73 (0.70 to 0.89)
・障害年金取得 0.46 (0.42 to 0.50)
リーダーシップ全体では、仕事の生産性を除いて、ポジティブな影響がみられていますね。
リーダーシップが良いと、仕事の満足度は高く、健康状態は良くなり、休職や早期退職しにくいということになります。
リスク比をみると、リーダーシップは特に仕事の満足度や早期退職に与える影響が大きそうです。
では次に、リーダーシップごとの仕事との関連についてみていきましょう。
配慮型リーダーシップ
・仕事の満足度 2.59
・仕事上の健康状態 1.85 (1.51 to 2.02)
・仕事の生産性 0.78 (0.55 to 1.13)
・休職 0.96 (0.78 to 1.38)
・障害年金取得 データなし
支援型リーダーシップ
・仕事の満足度 1.63 (1.39 to 1.91)
・仕事上の健康状態 1.32 (1.29 to 1.36)
・仕事の生産性 1.36 (1.21 to 1.54)
・休職 0.73 (0.70 to 0.89)
・障害年金取得 0.50
変革型リーダーシップ
・仕事の満足度 1.66 (1.27 to 2.34)
・仕事上の健康状態 1.95
・仕事の生産性 データなし
・休職 データなし
・障害年金取得 データなし
リーダシップごとにみると、配慮型では仕事の生産性や休職への影響がはっきりしない一方で、支援型では双方ともにポジティブな影響がみられています。
まぁ確かに、このあたりに関しては、組織公正よりもサポートのほうが役立ちそうですね。
変革型リーダーシップのデータが少ないところが気になりますが、今後の研究でのメタ分析にも注目していきたいです。
以上をまとめると、
・リーダシップが良いと、全体的にポジティブな影響が出やすいが、そのなかでも仕事の満足度や早期退職への影響力が大きい
・ただし、仕事の生産性への効果ははっきりしていない
となります。
よろしければ、参考にしてください。