2019年5月15日水曜日

抑うつ状態でみられる行動パターンの変化がこちら


どうも、大滝です。


みなさんは気分が落ち込んだとき、何か行動面に表れる変化はありますか?


私は気分が落ち込んだとき、気の合う仲間を集めて飲み会を開くといったリア充的なリソースは持ち合わせていないので、大人しく早く寝て睡眠時間をしっかり確保するようにしています。



さて、それは置いといて、診察や面談の場面では、「家にずっといて、ぼーっとテレビを見ています」などが典型的に返ってくる答えなのですが、普段の行動パターンから抑うつ状態を評価することはできるのでしょうか。



このことが気になって文献検索してみると、参考になる論文が2つ見つかりました(Seab et al., 2015; Seab et al., 2016)。


どちらもノースウェスタン大学の研究で、2015年に成人28名、2016年に大学生48名を対象として、抑うつ症状と行動パターンの関係について調査しています。


どのように調査したかというと、抑うつ症状についてはPHQ-9という質問紙、行動パターンについては携帯のGPS・使用状況が解析されました。


行動パターンは本人の自己申告ではなく、携帯の位置情報を使うことで、より正確なデータがとれそうですねぇ。



では、抑うつ状態でどのような行動パターンがみられたかというと、


・外出回数が減って(r = -0.44)、家にいる時間が長くなる(r = 0.43)

・外出先のバリエーションが減る(r = -0.43)

・活動時間が不規則になる(r = -0.48)

・活動場所に偏りが出る(r = -0.44)

・携帯の使用時間・頻度が増える(r = 0.54, 0.52)

・この傾向は、平日よりも週末にみられる

・行動パターンの変化は、抑うつ症状よりも8-10週間先行しやすい


となりました。



やはり、外出せずにずっと家にいるというは、科学的にも抑うつ症状と関連しているようですね。


うつ状態では何をするにも億劫になるので、様々な場所に出かけるのが難しくなり、外出しても短時間で帰ってきてしまうのでしょう。


睡眠もとりにくくなるため、生活リズムが乱れて、活動時間にもばらつきが出てきます。


携帯の使用時間・使用頻度が増えるというのも、よりアクティブな活動ができなくなって、簡単にできる活動に従事しやすくなるということの表れでしょうね。



特にこの研究の大きなところは、行動パターンの変化は抑うつ症状よりも先行しやすく、平日よりも週末でわかりやすいということがわかったところです。


メンタル不調を早期発見するためには、休日の過ごし方について確認することが効果的になりそうですね。


私も診察や面談の際には毎回確認するようにしていますが、外出先のバリエーションやそこで過ごした時間についても尋ねるようにしていきたいです。



参考文献:
Saeb, S., Zhang, M., Karr, C. J., Schueller, S. M., Corden, M. E., Kording, K. P., & Mohr, D. C. (2015). Mobile phone sensor correlates of depressive symptom severity in daily-life behavior: an exploratory study. Journal of medical Internet research17(7), e175.
Saeb, S., Lattie, E. G., Schueller, S. M., Kording, K. P., & Mohr, D. C. (2016). The relationship between mobile phone location sensor data and depressive symptom severity. PeerJ4, e2537.