2019年3月9日土曜日

花粉症による仕事の生産性低下が半端なかったと判明したルーヴァン・カトリック大学の研究


花粉症シーズン真っ只中のこの時期は、つらい症状に悩まされている方々も多いかと思いますが、花粉症は仕事の生産性にどの程度影響を及ぼすのでしょうか。




文献


このことについて調べるために、The Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practiceに掲載されていた論文を読んでみました。

Vandenplas, O., Vinnikov, D., Blanc, P. D., Agache, I., Bachert, C., Bewick, M., ... & Fonseca, J. (2018). Impact of rhinitis on work productivity: a systematic review. The Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice6(4), 1274-1286.


こちらは2018年のルーヴァン・カトリック大学の論文で、花粉症が労働力に与える影響について調査した28件の先行研究に対して系統的レビューを行っています。


労働力の評価としては、WPAI (Work Productivity and Activity Impairment)という質問紙を用いて調査された先行研究に限定されており、


・花粉症によって失われた労働時間 (対象者 1,666名)

・花粉症による仕事の生産性低下 (対象者 4,563名)


の2つが測定されております。


最近メディアでも使われるようになりましたが、いわゆる「アブセンティーズム」と「プレゼンティーズム」というやつですね。



結論


では、この系統的レビューでどんなことがわかったかというと、


・花粉症によって、3.6%の労働時間が失われた

・仕事の生産性は、35.9%低下した

・仕事の生産性低下は、うつ病(29%)よりも大きかった


となりました。



花粉症では、労働時間の喪失はそれほどではないものの、仕事の生産性への影響が半端なく、うつ病よりも大きな影響力を持っているようですね。


質問紙を用いた主観的な調査ではありますが、これは恐ろしい…



解釈


私も花粉症を患っており、この時期は頭が働かないなぁと思っていましたが、やはり労働力への影響は大きかったようです。


世間的には「たかが花粉症」と軽視されがちですが、仕事に与える影響を考えると、しっかりとした対策をとっておいたほうがよいでしょう。


花粉症に対する薬物療法は、労働力の低下を改善すると報告されているため(Burton et al., 2003)、症状のひどい方は病院を受診して、専門的な治療を受けることをおすすめします。



私も花粉症が年々ひどくなっているため、内服だけでなく、点眼や点鼻薬について相談しようかなぁ。



参考文献:
Burton, W. N., Morrison, A., & Wertheimer, A. I. (2003). Pharmaceuticals and worker productivity loss: a critical review of the literature. Journal of Occupational and Environmental Medicine45(6), 610-621.