2019年3月2日土曜日

職場のサポートが少ないのはメンタル不調のせいかもしれないぞ、というストックホルム大学の研究


職場のサポートがメンタル不調を減らすのは当然ですが、その逆として、メンタル不調が職場のサポートに与える影響も存在するのでしょうか。




文献


このことについて調べるために、Journal of Occupational Healthに掲載されていた論文を読んでみました。

Sconfienza, C., Lindfors, P., Lantz Friedrich, A., & Sverke, M. (2019). Social support at work and mental distress: A three‐wave study of normal, reversed, and reciprocal relationships. Journal of Occupational Health61(1), 91-100.


こちらは2019年のストックホルム大学の研究で、301名のスウェーデンのオフィスワーカーを2年間追跡して、職場のサポートとストレス反応について毎年アンケート調査を行っています。


つまり、アンケート調査は、調査開始時点、1年後、2年後の合計3回行ったことになります。


結果


その結果、どんなことがわかったかというと、


・職場のサポートとストレス反応は互いに影響を及ぼし合っている

・ただし、その影響にはタイムラグがある


ということです。


つまりどういうことかというと、この研究では、調査開始時点で職場のサポートが良いと、1年後のストレス反応が減りやすく、そのストレス反応が低いほど、さらに1年後の職場のサポートが良くなりやすいというサイクルがみられたのです。


ただし、調査開始時点でストレス反応が低いと、1年後の職場のサポートが良くなりやすかったり、さらに1年後のストレス反応が低くなりやすいという結果はみられなかったのですが。



解釈


一般的に、職場のサポートとストレス反応の関係を考えるときは、


職場のサポート不足→ストレス反応


という一方向しか意識しない傾向がありますが、実は


ストレス反応→職場のサポート不足


というもう一方の影響もあるということですね。



論文の著者は、メンタル不調に陥ると、周囲のサポート資源をうまく活用できなかったり、自分が受けているサポートをうまく認識できなかったりすることがあると指摘しています。


確かに、言われてみれば、その通りですね。


ただ、自分のなかでは大きな視点の転換ができて大変勉強になりました。


ストレスチェックなどで職場のサポートは測定されていますが、職場のサポートが少ないという結果をみたときには、メンタル不調による影響が背後に潜んでいないかどうか検討が必要になりそうです。