2019年1月9日水曜日

長時間労働で生産性を高めるためには、ある要素が重要だったという台湾の国立中山大学の研究


働き方改革などで何かと話題になりやすい長時間労働ですが、仕事の生産性に関してはどのような影響があるのでしょうか。


このことについて調べるために、Journal of Organizational Behaviorに掲載されていた論文を読んでみました。

Ko, Y. J., & Choi, J. N. (2018). Overtime work as the antecedent of employee satisfaction, firm productivity, and innovation. Journal of Organizational Behavior.


こちらは2018年の台湾の国立中山大学の研究で、273の企業を対象として、長時間労働と仕事の満足度・生産性・イノベーションの関係について調査しています。


この結果どんなことがわかったかというと、

・長時間労働が増えると、仕事の満足度は減る

・しかし、長時間労働により、仕事の生産性は増え、イノベーションは逆U字曲線を描く

・そして、この効果は組織への信頼が高いと現れやすい

となりました。


長時間労働で仕事の満足度が減るのは当然かと思いますが、生産性やイノベーションには良い効果もみられるようです。

以前に「アジアでは長時間労働は抑うつ症状を引き起こしやすい」という記事を書いたので、生産性やイノベーションにも悪影響があるのかなと思って読んでいたら、ちょっと意外な結果でした。


ただ、その他の先行研究では、ある程度の制約があったほうが想像力やイノベーションは高まりやすいといったことが報告されており(Acar et al., 2018)、長時間労働で適度な負荷がかかる分には生産性やイノベーションに良い影響がみられるのかと思います。


そして、この良い影響の鍵を握るのが、組織への信頼です。

組織への信頼が高いと、長時間労働で生産性やイノベーションが高まりやすい一方で、組織への信頼が低いと、このような効果は得られにくくなります。

確かに、組織への信頼が低いと、「この残業は何かの役に立つのか」などの先々への不安が生じやすく、モチベーションにつながりにくいですよね。

特に、メンタル不調を起こしやすい仕事のストレス要因として最も大きなものは、自分の行った努力が報われなかったときであることが報告されており(Nieuwenhuijsen et al., 2010)、何のためにやっているのかわからない残業は大きなストレスとなるでしょう。


そういったことを防ぐためにも、仕事の評価システムや意思決定を明確にしたり、組織的公正を保ったりすることで、「自分の行っている残業は職場に貢献している」と感じられるような組織への信頼は重要になってくると考えられます。


よろしければ、参考にしてみてください。


参考文献:
Acar, O. A., Tarakci, M., & van Knippenberg, D. (2018). Creativity and Innovation Under Constraints: A Cross-Disciplinary Integrative Review. Journal of Management, 0149206318805832.
Nieuwenhuijsen, K., Bruinvels, D., & Frings-Dresen, M. (2010). Psychosocial work environment and stress-related disorders, a systematic review. Occupational medicine60(4), 277-286.