「ミーティングの質を改善したい!」とお考えの職場は少なくないと思いますが、実際にどのようにミーティングを設計すれば、質の高いミーティングが行えるのでしょうか。
文献
このことについて調べるために、Group Dynamics: Theory, Research, and Practiceに掲載されていた論文を読んでみました。
Cohen, M. A., Rogelberg, S. G., Allen, J. A., & Luong, A. (2011). Meeting design characteristics and attendee perceptions of staff/team meeting quality. Group Dynamics: Theory, Research, and Practice, 15(1), 90.
こちらは2011年のCarlson Marketingというアメリカ企業の論文で、367名の被験者にオンラインのアンケート調査を行い、ミーテイングの各構成要素と主観的なミーテイングの質の相関関係について求めています。
ミーティングの構成要素
この研究では、ミーティングの構成要素を
・時間的な項目
・物理的な項目
・手続き的な項目
・参加者の項目
の4つに大きく分類されていて、それぞれの相関係数を調べています。
相関係数は、-1~1までの値をとりますが、数字の絶対値が大きくなるほど相関関係が強くなります。
結果
それでは、ミーティングの各構成要素が主観的なミーティングの質とどの程度相関関係があるのかみていきましょう。
相関係数が太字になっているものは統計的に有意となっています。
時間的な項目
・開始時間の厳守 0.29
・終了時間の厳守 0.16
・ミーティングの長さ 0.07
・休憩時間の設定 0.05
物理的な項目
・適切な広さ 0.29
・適切な明るさ 0.25
・適切な温度 0.17
・軽い飲食物 0.11
・座席の指定 0.05
・騒音 0.01
・コミュニケーション方法(対面、電話など) -0.01
手続き的な項目
・基本原則に沿って行われる 0.14
・議事録を事前に確認できる 0.14
・ミーティングの電子記録 0.06
・議事録をとる 0.02
参加者の項目
・参加者の数 -0.11
・ファシリテーターの活用 0.02
考察
ここでは9つの要素で統計的に有意な結果がみられましたが、相関係数が最も大きかったのは、ミーティングの開始時間と広さとなりました。
以前にも「ミーティングに10分遅れると満足度やパフォーマンスが低下する」という記事を書きましたが、予定時間きっちり始まることはやはり大事だったんですね。
また、それと同じくらい部屋の広さが重要だったのは意外でした。
その他にも物理的な項目では、明るさ、温度、軽い飲食物が統計的に有意となっており、このような外部の環境要因の影響は案外侮れないですね。
ミーティングの議事録や基本原則に関してはきちんと取り組まれている職場も多いかと思いますが、参加者の数に関してはあまり意識が向いていないのではないでしょうか。
そんなに関わりのないプロジェクトのミーティングでも、「同じグループの集まりだから」と安易な理由で参加することは多いと思います。
実際に先行研究では、大企業の管理職は仕事時間の75%近くを会議に費やしているといったことも報告されています(Van Vree, 1999)。
しかし、今回の研究結果からはミーティングの参加者が増えると、主観的なミーティングの質は下がることが示されています。
CIAの前身であるOSSが組織破壊のために作成した「サボタージュマニュアル」では、「意思決定を行うときは6人以上の会議を開け」といったことが書かれていましたが、ミーティングの参加人数が多くなると意思決定が難しくなるのです。
そのため、漫然とミーティングへの参加者が増えるのは避けるべきです。
本当にそのミーティングに必要なメンバーだけが集まって意思決定していくことが、ミーティングの質の改善につながります。
ミーティングを開くときは、その人選にも気をつけていきたいですね。
よろしければ、ご参考にしてください。
参考文献:
Van Vree, W. (1999). Meetings, manners and civilization: The development of modern meeting behaviour. London: Leicester University Press.