2019年2月2日土曜日

チームパフォーマンスを上げるにはどのような性格の人が必要か明らかになったアイントホーフェン工科大学の研究


職場によってはチームで協力しながら結果を出さないといけないところもあるかと思いますが、チームパフォーマンスを上げるためにはどのような性格の人が必要なのでしょうか。


文献


このことについて調べるために、European Journal of Personalityに掲載されていた論文を読んでみました。

Peeters, M. A., Van Tuijl, H. F., Rutte, C. G., & Reymen, I. M. (2006). Personality and team performance: a meta‐analysis. European Journal of Personality: Published for the European Association of Personality Psychology20(5), 377-396.


こちらは2006年のアイントホーフェン工科大学の論文で、9つの先行研究を用いて、性格とチームパフォーマンスの相関についてメタ分析しています。


メタ分析とは、関連するテーマの先行研究を集めてきて、定量的に評価する手法のことで、複数の研究をまとめた結果なので、信頼性が高くなります。

メタ分析では「効果量」という標準化した数値を用いて効果の大きさを評価するのですが、相関の効果量としては、0.10で「小さい」、0.30で「中程度」、0.50で「大きい」効果があるとされています(Cohen, 1988)。


性格評価


性格の評価にはビックファイブが用いられており、

・外向性
・情緒安定性
・開放性(好奇心)
・協調性
・勤勉性

の5つの観点から性格を分析しています。

特に、この研究では、チーム内でのビックファイブの各項目の高さばらつきについて評価しています。


また、チームパフォーマンスとしては、チーム効率、仕事やプレゼンの質などについて第三者が評価しています。


結果


それでは、ビックファイブとチームパフォーマンスの相関関係についてみていきましょう。


ビックファイブの高さ

・外向性 0.04 (90%CI -0.05 to 0.13)

・情緒安定性 0.04 (90%CI -0.06 to 0.13)

・開放性 0.03 (90%CI -0.14 to 0.20)

・協調性 0.24 (90%CI 0.09 to 0.39)

・勤勉性 0.20 (90%CI 0.09 to 0.31)


ビックファイブのばらつき

・外向性 0.06 (90%CI -0.06 to 0.18)

・情緒安定性 0.02 (90%CI -0.13 to 0.16)

・開放性 -0.01 (90%CI -0.15 to 0.12)

・協調性 -0.12 (90%CI -0.16 to -0.07)

・勤勉性 -0.24 (90%CI -0.33 to -0.14)



考察


結果をみると、協調性と勤勉性でチームパフォーマンスと有意な関連がみられています。


予想としては外向性や情緒安定性あたりも関連するかと思っていましたが、そうでもないんですね。



協調性と勤勉性が高いとチームパフォーマンスが高くなるのは納得しやすいと思いますが、ばらつきが大きくなるとチームパフォーマンスは低くなってしまうのは新しい発見でした。


協調性と勤勉性が高い人がいても、逆にそれらが低い人がいると、チームパフォーマンスは下がってしまうということになります。


学生時代にサッカーをやっていたときは、厳しい先輩がよく「やる気のないやつは帰れ!」などと言っていましたが、あれはちゃんとエビデンスのある発言だったようです。



よろしければ、チーム構成などを考えるときの参考にしてみてはいかがでしょうか。


参考文献:
Cohen, J. (1988). Statistical power analysis for the behavioral sciences 2nd edn.