2018年8月8日水曜日

デザイン性の高い商品は販売規模が小さいほうが売れやすいという中国の重慶大学の研究


仕事のなかで商品販売に関わっている方もいらっしゃると思いますが、販売規模によって商品の購買意欲は変わってくるのでしょうか。


このことについて調べるために、frontiers in Psychologyに掲載されていた論文を読んでみました。

Wan, X., Wang, T., & Wu, J. (2018). I’ll Follow the Minority: The Effects of Sales Level on Purchase Intention of Self-Expressive Products. Frontiers in Psychology9, 1135.

こちらは2018年の中国の重慶大学の研究で、約900名の若者を対象として、Tシャツ、枕、コップ、コート、電気毛布といった商品を用いて、4つの実験を行っています。

どんな実験を行ったかというと、販売規模の大小を分けたときに
①Tシャツと枕ではどちらを選択するか
②デザイン性のあるコップと機能性のあるコップではどちらを選択するか
③コートと電気毛布ではどちらを選択するか
④販売規模の大きいコートを値引きしたらどうなるか
について調査しています。


結果はどうなったかというと、

・どの実験でもデザイン性のある商品(Tシャツ、コートなど)は販売規模が小さいときに選択されやすかった

となりました。


この研究ではどうしてそのような結果になったのかについても解析していて、それには「自己イメージの排他性」と「アイデンティティの脅威」が関係していることが指摘されています。

「何のこっちゃ!?」と思われたかもしれませんが、簡単に言えば、人間には他の人とは違って特別な存在でありたいという願望があり、自分と似た存在を発見したときに脅威を感じるということです。

例えば、電車の中で自分と全く同じ服を着ている人と目が合って、「うわっ!気まずっ!」と思ったことが、まさに当てはまります。


デザイン性の高い商品を買うことは、その人の自己表現の一部となっているため、販売数が多くなると、没個性的になって購買意欲が低下してしまうのです。


そう考えると、店員さんがよく使う「このアイテム、今すごく売れているんですよ~」というフレーズは、機能性をウリにしている商品であればよいですが、デザイン性をウリにしているものであれば使い方には気をつけたほうがいいかもしれませんね。


その人に合ったアレンジ方法や他の商品との組み合わせなどで独自性を出す提案ができるとより効果的でしょう。