仕事の不安定さによってストレス反応が増えることは想像しやすいですが、どのような要因が大きく関わっているのでしょうか。
このことについて調べるために、International Archives of Occupational and Environmental Healthに掲載されていた論文を読んでみました。
Kachi, Y., Hashimoto, H., Eguchi, H. (2018). Gender differences in the effects of job insecurity on psychological distress in Japanese workers: a population-based panel study. International Archives of Occupational and Environmental Health.
こちらは2018年の北里大学の研究で、25-50歳の男性889名・女性762名に、2010年と2012年にアンケート調査を行い、仕事の不安定さがストレス反応(K6≧5)に与える影響について調べています。
仕事の不安定さの変化としては、2010年と2012年に調査を行っているので、
①どちらも安定
②不安定から安定
③安定から不安定
④どちらも不安定
の4つのパターンが存在します。
結果はどうなったかというと、
・男女ともに、仕事がどちらも不安定であったグループは、どちらも安定であったグループと比べて、ストレス反応が起きやすい
男性:オッズ比 1.64 (95%CI 1.03-2.60)
女性:オッズ比 1.60 (95%CI 1.01-2.56)
これは当然ですね。
・ただし、この傾向は子供がいるときだけみられる
子供のいる男性:オッズ比 3.08 (95%CI 1.64-5.78)
子供のいない男性:オッズ比 0.67 (95%CI 0.32-1.40)
子供のいる女性:オッズ比 2.53 (95%CI 1.30-4.92)
子供のいない女性:オッズ比 0.96 (95%CI 0.48-1.95)
というわけで、仕事の不安定さがストレス反応に与える影響の大きさは子供の有無で変わってくることになります。
私は子供がいないのであまり意識してこなかったのですが、振り返ってみると、周りで子供のいる先生方は仕事の将来性についてよく気にしていました。
産業医面談でも家族構成について聞いていましたが、本人の健康状態を評価するうえで子供の有無を質問することは重要になりそうです。
今後の面談で活用していきます。