2018年7月25日水曜日

ノルウェーの研究で明らかになった、メンタル不調を起こしやすい性格・起こしにくい性格


従来型のうつ病は真面目で几帳面な人がなりやすいなどと一般的にいわれますが、長期休職に関連しやすい性格傾向は存在するのでしょうか。


このことについて調べるために、Occupational Medicineに掲載されていた論文を読んでみました。

Østby, K. A., Mykletun, A., & Nilsen, W. (2018). Personality and long-term health-related benefits. Occupational Medicine.

こちらは2018年にノルウェーの公衆衛生機関で行われた研究で、364名の女性を対象として、ビックファイブを用いた性格傾向と過去半年間の長期休職(30日以上)・障害年金の取得状況の関連について調べるために、ロジスティック回帰分析が行われています。

ちなみに、ビックファイブとは性格分析でよく使われる手法で、各々の性格のなかに
・外向性
・神経症的傾向
・開放性(好奇心)
・協調性
・勤勉性
の5つがどの程度存在するのかを質問紙を用いて数値化します。


結果がどうなったかというと、
・神経症的傾向が平均より標準偏差分だけ高いと、障害年金の取得は約2.1倍になる
・外向性・勤勉性が平均より標準偏差分だけ高いと、障害年金の取得はそれぞれ約0.6倍になる
・しかし、長期休職の取得と性格傾向には有意な関連はみられなかった
となりました。


つまり、性格傾向と長期休職に有意な関連はないものの、職場復帰できずに障害年金を取得することに関しては、神経症的傾向が高いと起こりやすく、外向性や勤勉性が高いと起こりにくいということになります。

神経症的傾向が高いと障害年金をもらいやすいことは想像しやすいですが、勤勉性が高いと障害年金をもらいにくいというのは、真面目で几帳面な人が従来型のうつ病になりやすいといわれていることに矛盾するような結果ですね。

考えられる要因としては、ノルウェーで行われた研究であることや対象者が女性のみであることなどがありそうです。

その他にも、今までの私の経験上、真面目で几帳面な人は予後が良いことが多いです。自身の状態を受け入れることができれば、治療に対しても真面目に取り組むので、一度お休みすることはあっても、その後職場復帰できる方がほとんどです。

そのため、障害年金を取得するまでに至るケースは稀なのではないかと考えられます。勤勉性は人生で成功する指標にもなったりしてますしね。


ビックファイブの性格分析はネットやアプリなどでも簡単に受けることができるので、興味のある方は受けられてみてはいかがでしょうか。