2018年7月18日水曜日

リワークの出席状況によって職場復帰の可能性は大きく異なるというフィンランドのタンペレ大学の研究


休職した後にリワークを利用して職場復帰を目指す方も多いですが、リワークへの参加率はどの程度職場復帰に影響を及ぼすのでしょうか。

このことについて調べるために、Scandinavian Journal of Work, Environment & Healthに掲載されていた論文を読んでみました。

Nwaru, C. A., Kivimäki, M., Pentti, J., Vahtera, J., & Virtanen, P. (2018). Sickness absence in a re-employment program as a predictor of labor market attachment among long-term unemployed individuals: A 6-year cohort study in Finland. Scandinavian journal of work, environment & health.

こちらはフィンランドのコホート研究で、6か月間のリワークプログラムを受けた長期休職者18,944名を6年間フォローアップしています。

そのなかで、リワークを休んだ期間とその後の職場復帰の状況の関連を調べるために、多項ロジスティック回帰分析を用いて解析しています。


6か月間のリワークを受けた後の出勤状況は、

・安定して勤務していたのは77%
・休みがちに勤務していたのは6%
・復帰した後に退職したのは10%
・復帰できなかったのは7%

という結果でした。

そして、リワークを30日以上休んだ人は、休みが10日以下だった人と比べて、退職するオッズ比が2.0、復帰できないオッズ比が5.1となりました。

特に、18-29歳と30-44歳では復帰できないオッズ比がそれぞれ5.4, 7.4となり、若い世代でリワークを休んだときの影響が大きくなっていました。


6か月で30日以上ということは、だいたい週1日以上休む計算になりますかね。このくらいリワークで休んでしまうと、特に若い世代では職場復帰は厳しいということになります。

現実的に考えて、リワークよりも仕事のほうが負荷は大きいですから、当然といえば当然ですね。

ただ、データとしてこのようなことがわかったのは、今後の見通しを判断する上で大きいのではないでしょうか。

職場復帰への焦りから体調が悪いのに無理して活動する方もいますが、現在のリワークの参加率があまりに低ければ、一旦自宅療養して体調回復に専念したほうが今後のためになることもあります。

焦りや不安が強いときこそ、データを活用して客観的な判断に役立ててもらいたいです。