2018年5月9日水曜日

海外で働くには外向性・情緒安定性・開放性が重要だというフロリダ・アトランティック大学の研究


たまに仕事で、海外で働く日本人のメンタルケアをさせていただく機会があって、マレーシアのジャングルのなかやロシアの真冬の北極圏などの僻地に行ったりするのですが、そういう場所では気晴らしができなかったり、言葉や文化の壁があったりして、ストレスを抱えやすい環境が存在しています。

ここ最近、自分の周りでも海外で働く方々が増えてきており、どのような人が海外での仕事に適応しやすいのか気になったので調べてみることにしました。

文献はJournal of Occupational and Organizational Psychologyに掲載されていた、性格と海外適応に関するメタ分析です。

Harari, M. B., Reaves, A. C., Beane, D. A., Laginess, A. J., & Viswesvaran, C. (2018). Personality and expatriate adjustment: A meta‐analysis. Journal of Occupational and Organizational Psychology.

こちらはフロリダ・アトランティック大学の研究で、43の独立したサンプルから7,007名を対象として、ビックファイブの性格(外向性、情緒安定性、開放性(好奇心)、協調性、誠実性)と海外での適応(日常生活、現地の人との交流、仕事)の関係を調査しています。


その結果、性格が海外での適応の20%を説明しており、そのなかでも、
・外向性
・情緒安定性
・開放性(好奇心)
が重要となっていました。


つまり、人付き合いがうまく、感情が安定していて、好奇心の強い人が海外での生活に向いているということになります。

言われてみれば、海外に行く人ってこのようなタイプが多いですよね。今まで経験的に何となくわかっていたことが、研究でも示されたことになります。


私は内向的で神経質なタイプなので、海外での長期生活は向かなさそうなことがわかり、ちょっと残念ですが、私のようなタイプの方は海外での仕事に適応しにくいことを念頭に入れて面談対応していきたいです。


ただ、今回の研究結果でわかったのは海外での仕事に適した性格であり、そのようなタイプが集まれば組織としてうまくいくかは別問題です。

というのも、同じような人々が集まると当然考え方も近くなるわけで、物事を多様な視点で捉えることが難しくなり、問題を柔軟に処理できなくなるからです。

つまり、組織としてうまく機能するためには「多様性」が大事になってくるということです。

今後、個人としての性格と組織としての多様性を組み合わせて海外での適応を評価した研究にも注目していきたいです。