面接は自分の特徴をアピールできる貴重な機会でありますが、そのときに話を盛ると評価にどのような影響が出るのでしょうか。
その影響を調べるために、Journal of Business and Psychologyに掲載されていた論文を読んでみました。
Buehl, A. K., Melchers, K. G., Macan, T., & Kühnel, J. (2018). Tell Me Sweet Little Lies: How Does Faking in Interviews Affect Interview Scores and Interview Validity?. Journal of Business and Psychology, 1-18.
こちらはドイツのウルム大学の研究で、心理学を学んでいる学生ボランティア111名を対象に、話を盛るように指示された場合と普段の素の状態を指示された場合で模擬面接をそれぞれ受けてもらい、そのときの評価を比較しています。
そんなに2つの場合をうまく分けられるのかと思った方もいるかもしれませんが、そのあたり手が込んでいて、周囲の環境もそれぞれの場合で分けてセッティングしています。
話を盛るように指示された場合は本当の面接でも使用される会議室で教員が面接官として担当し、普段の素の状態を指示された場合は大学のキッチンエリアで心地よい椅子に座りながら修士の学生が面接官を担当することになっています。
結果はどうだったかというと、
・話を盛ると面接の評価は有意に高い(p < 0.01, Cohen's d = 1.33)
・特に認知機能や質問の意図を読み取る能力が高いほど評価が高かった
となりました。
つまり、その面接で求められていることをうまく理解して、それに合わせて自分をアピールできると評価がより良くなるということになります。
また、被験者たちは事前に学力や人間性に関するオンライン調査を受けており、それらの結果を面接の環境ごとでどのくらい予想できるのかも相関分析を用いて調査されています。
それによると、学力は話を盛ったときの環境のほうがうまく予測でき、人間性は普段の素の状態で受けたときの環境のほうがうまく予測できていました。
つまり、面接官の立場としては、学力などのパフォーマンスを評価したいときはフォーマルな環境で面接を行ったほうがよく、人間性などのパーソナリティを評価したいときはリラックスできるような環境で行ったほうがよいことになります。
面接を受ける側と実施する側の双方に対して今後の方策への示唆があって興味深いですね。
ただし、気をつけておきたいことは、今回の研究結果では話を盛ったほうが面接の評価が統計的に有意に良くなっていますが、個々のケースで必ずしもうまくいくとは限りません。
盛りすぎれば嘘だとバレて評価が下がることは確実ですので、今回の研究結果をどのように活用するかは自己責任でお願いします。