2018年5月16日水曜日

外見の良さが年収に与える影響は健康状態・知性・性格・職業を調整するとなくなってしまうというロンドン大学の研究


今までの心理学の研究では、外見が良いと収入も高くなることが示されてきていますが、交絡因子による影響もあるのではないかと考えられており、外見自体で果たして本当に収入が変わってくるのでしょうか。

このことについて調べるために、Journal of Business and Psychologyに掲載されていた論文を読んでみました。

Kanazawa, S., & Still, M. C. (2018). Is there really a beauty premium or an ugliness penalty on earnings?. Journal of Business and Psychology33(2), 249-262.

こちらはロンドン大学の研究で、15,701名の29歳アメリカ人を対象として、調査員が各被験者と面接して年収と外見を調べています。

外見については
・とても魅力的でない
・魅力的でない
・普通
・魅力的
・とても魅力的
の5件法で評価されました。

被験者からすると、何とも失礼な調査ですね。


結果としては、外見ごとの年収は以下のようになりました。
・「とても魅力的でない」で44,831ドル
・「魅力的でない」で27,707ドル
・「普通」で35,547ドル
・「魅力的」で38,980ドル
・「とても魅力的」で42,854ドル

なんと、「とても魅力的でない」グループが最も年収が高くなっていました。

さらに、職業を統制し、健康状態、知性、性格を独立変数に加えて、年収に関する重回帰分析を行うと、
・「魅力的」「とても魅力的」であることは年収の高さと有意な関連はみられなかった
・ただし、「魅力的でない」ことは年収の低さと有意な関連がみられた
となりました。


著者は、先行研究では「とても魅力的でない」と「魅力的でない」を分けずに同じカテゴリーにしていたことで外見が収入に影響を与えるようにみえていたと指摘しています。

同じ外見の悪さでも「とても魅力的でない」と「魅力的でない」で年収に200万円近く差が出てくるのは驚きですね。

「とても魅力的でない」グループは、外見の悪さにコンプレックスを抱えやすい分、その逆境を乗り越えるために他の部分でより多くの努力する結果、年収が高くなるのでしょうか。


また、今まで外見の良さと考えられていた年収の高さも、健康状態、頭や性格の良さを調整するとその効果はなくなってしまうようですね。

ただ、外見が良い人は、ハロー効果やピグマリオン効果で、外見以外の部分も必要以上に良くみえたり、周りから大事に扱われるため健康状態、学力、性格が良くなったりする傾向はあります。

そのような傾向を外見の良さのメリットとして含めると、やはり外見が良いことは二次的に収入にも有利に働いてくる可能性はあります。

いずれにしても、外見の良い方はそのメリットを生かせばよいですし、そうでない方も外見以外の良さを活かして収入を高められることが今回の研究結果から示唆されています。

「イケメン、爆発しろ!」などと卑屈に考えず、地道な努力を重ねていくのがよろしいのではないでしょうか。