2019年4月10日水曜日

歩き方でメンタル不調がわかるかもしれないというルール大学ボーフムの研究


メンタル不調の早期発見・早期治療は重要ですが、歩き方からメンタル不調を見抜くことはできるのでしょうか。




文献


このことについて調べるために、Psychosomatic Medicineに掲載されていた論文を読んでみました。

Michalak, J., Troje, N. F., Fischer, J., Vollmar, P., Heidenreich, T., & Schulte, D. (2009). Embodiment of sadness and depression—gait patterns associated with dysphoric mood. Psychosomatic medicine71(5), 580-587.


こちらは2009年のルール大学ボーフムの論文で、14名のうつ病の入院患者と性別・年齢を揃えた14名の健常者を対象として、歩行の様子をビデオカメラで撮影して、解析を行っています。


被験者の数が少ないところは気になりますが、興味深い研究ですね。



結論


ではさっそく、どのような結果になったのかみていきましょう。


この研究では、健常人と比べて、うつ病で有意な差がみられた歩き方として、以下の5つが見つかりました。


・歩行速度が遅い (1.07 vs 1.30 m/s)

・腕の振幅が小さい (274 vs 371 mm)

・体の横方向の揺れが大きい (49 vs 36 mm)

・前傾姿勢 (1.97 vs -3.57 度)

・頭の垂直方向の動きが小さい (33 vs 41 mm)



解釈


イメージ的には、メンタル不調になると、歩行が弱々しく不安定になるといった感じでしょうか。


ジャイアンにいじめられて、家に帰っていくのび太君の歩き方は科学的にも正しかったようです。



今回の研究で想像しやすい結果となっていますが、体の横方向の揺れや頭の垂直方向の動きもメンタルと関連していたとは知りませんでした。


ただ、その差は1cm程度なので、肉眼で見分けるのは難しいかもしれませんが。



実用的に使えそうなのは、歩行速度、腕の振幅、前傾姿勢の3つでしょう。


これら3つは効果量も0.8以上となっており、大きな効果がみられています。


身の周りでメンタル不調が気になる方がいらっしゃったら、歩行の変化に着目してみると参考になるかもしれません。