2019年4月13日土曜日

うつ病に特徴的な頭の動きが判明したオーストラリア国立大学の研究


前回「歩き方でメンタル不調がわかるかもしれない」という記事を書きましたが、普段の会話などで視線を向けやすい頭の動きからメンタル不調の早期発見はできるのでしょうか。




文献


このことについて調べるために、IEEEに掲載されていた論文を読んでみました。

Alghowinem, S., Goecke, R., Wagner, M., Parkerx, G., & Breakspear, M. (2013, September). Head pose and movement analysis as an indicator of depression. In 2013 Humaine Association Conference on Affective Computing and Intelligent Interaction (pp. 283-288). IEEE.


こちらは2013年のオーストラリア国立大学の研究で、うつ病患者30名と健常者30名を対象としてインタビューを行い、そのときの頭の動きをビデオカメラで撮影して解析しています。


普通ならインタビューの回答内容が気になるところですが、頭の動きに着目したというところはユニークですね。



結論


ではさっそく結果を言ってしまうと、うつ病患者の頭の動きでは以下のような特徴がみられました。


・頭の動きが遅い

・頭の位置を変える回数が少ない

・右や下を見る時間が長い



どうやら、うつ病になると、頭を動かしにくくなり、視線の方向に特徴がみられるようですね。



解釈


論文著者によると、このようなうつ病に特徴的な頭の動きは、「疲労やアイコンタクトの回避を示唆している」とのこと。


うつ病では、多かれ少なかれ、「意欲の低下」が出現するため、コミュニケーションをとること自体も負担となっている反映しているのでしょう。


下を見ることはアイコンタクトの回避としてわかりやすいですが、右を見やすいということは今まで働いて気づかなかったですねぇ。


どういうメカニズムなのかは論文で書かれていませんでしたが、診察や面談では注意してみていこうかと思います。