2018年11月21日水曜日

休職者への上司のリーダーシップとしてはどのようなものが求められるのか明らかにしたスウェーデンのカロリンスカ医科大学の研究


復職時の産業医面談では、上司の方から「これから本人とどのように接していけばよいですか」といった質問をよく受けますが、上司の対応としてはどのようなことが求められるのでしょうか。

このことについて調べるために、Journal of Occupational Rehabilitationに掲載されていた論文を読んでみました。

Aas, R. W., Ellingsen, K. L., Lindøe, P., & Möller, A. (2008). Leadership qualities in the return to work process: a content analysis. Journal of Occupational Rehabilitation18(4), 335.


こちらは2008年にスウェーデンのカロリンスカ医科大学が行った研究で、19の企業から8週間以上の長期休職者30名とその上司28名を対象として、リーダーシップに関するインタビュー調査を行いました。


その結果、最も重要視されるリーダーの資質とタイプが明らかになりました。

具体的には、以下のようになります。

<リーダーの資質>

・話しかけやすさ
・思慮深さ
・理解力
・共感力
・観察力


<リーダーのタイプ>

・保護的
・問題を解決してくれる
・話しかけやすい


それぞれの項目を見ると、全体的には「休職者のことをよくわかってくれる」上司が求められていますね。


仕事をお休みすると、職場という社会的な人間関係から離れることになるので、孤独感を抱きやすくなります。

また、メンタルヘルスの問題は目に見えないので、周囲からは「もう治ったのではないか」と誤解されることも少なくありません。

そのため、休職者のことをよく理解してくれる上司が求められてくるのです。


実際の産業保健の現場でも、休職されている方と密接にコミュニケーションをとっていたり、本人の状態をみながら仕事の負荷を調整したりしている上司の方がいると、職場復帰がうまくいくケースが多いです。


先日の「復職後の再休職の予測因子」という記事では、上司との衝突が再休職のリスクファクターになっていましたが、それだけ上司の方の影響力は大きいのでしょう。


よろしければ、参考にしてみてください。