2018年4月18日水曜日

アムステルダム大学の研究で判明した、メンタル不調になりやすい仕事のストレス


仕事のストレスと一言で言っても、仕事の量や質、人間関係など様々なものがありますが、いったいどのようなストレスがメンタル不調につながりやすいのでしょうか。

このことについて調べるために、Occupational Medicineに掲載されていた論文を読んでみました。

Nieuwenhuijsen, K., Bruinvels, D., & Frings-Dresen, M. (2010). Psychosocial work environment and stress-related disorders, a systematic review. Occupational medicine60(4), 277-286.

これはアムステルダム大学の研究で、2008年10月までに出版された論文のうち、仕事のストレス要因とストレス反応の関係について調査したコホート研究とケースコントロール研究が対象として系統的レビューとメタ分析を行っています。

結果としては、7つの前向き研究がメタ分析として解析されました。

そして、ストレス反応と関係していたのは、

・ノルマの高さ 1.35 (95% CI 1.22-1.50)
・コントロール感の低さ 1.22 (95% CI 1.10-1.36)
・同僚のサポートの乏しさ 1.24 (95% CI 1.13-1.37)
・上司のサポートの乏しさ 1.24 (95% CI 1.13-1.35)
・不透明な意思決定 1.78 (95% CI 1.59-2.00)
・仕事の不公平感 1.51 (95% CI 1.35-1.69)
・努力報酬不均衡 1.98 (95% CI 1.78-2.20)

となっていました。


努力報酬不均衡、不透明な意思決定、仕事の不公平感で特にオッズ比が高くなっていますね。

実際に産業医面談で対応していても、仕事の量や人間関係で悩まれている方は徐々に調子を崩していく一方で、努力報酬不均衡や組織的な問題で調子を崩される方は急激に進行していく印象があります。


仕事の量や人間関係の問題であれば、上司の方や人事の方とも調整することで対応しやすいですが、努力報酬不均衡や組織対応の問題になると、すぐには解決できないということも影響しているのかもしれません。

いずれにしても、「努力が見合わない」や「組織の対応に不満がある」という訴えを聞いたときは、メンタル不調につながりやすいことを念頭に入れておいたほうがよさそうです。