いま最も世の中で注目されているものは何か。
それは新型コロナワクチンを置いて他にないだろう。
新型コロナの感染者数は増加傾向にあり、その勢いは止まるところを知らない。
この状況を変えてくれるかもしれないものとしてワクチンが注目されるのも当然の流れだろう。
では、そのワクチン開発状況はどうなっているのだろうか。
現在最も研究が進んでいるのは、オックスフォード大学・製薬会社アストラゼネカのチームである。
米国生物医学先端研究開発局から12億ドルという巨額の資金提供を受け、ブラジル・南アフリカ・イギリスでワクチン販売前の最終段階である第3相臨床試験を行なっている。
ワクチン開発のトップランナーであり、今後最も早く世の中にワクチンが出回る可能性があると言っていいだろう。
そうなってくると、気になるのがワクチンの効果・副作用である。
現在も臨床試験中なので今後の研究によっては結果が覆るかもしれないが、暫定的な報告がつい最近発表された。
参考になるのは、2020年7月20日にLancetに掲載されたオックスフォード大学の研究である(Foregatti et al., 2020)。
こちらの研究では、18-55歳の健康な大人1,077名を対象に、ワクチン投与群(543名)とコントロール群(534名)に分けて、ワクチンの効果や副作用について調べている。
いま現在は第3相臨床試験が行われているが、その前に行われた第1,2相臨床試験の結果をまとめたのが本研究というわけだ。
そして、ここでわかったのが以下のようなことである。
・ワクチンを1回投与すると、91〜100%で中和抗体反応が確認された
・追加のワクチン接種を行うと、全員に中和抗体反応が確認された
・ワクチン投与群では、疼痛・熱感・悪寒・筋肉痛・頭痛・不快感などの症状がより多くみられたが、重篤な有害事象はみられなかった
1回のワクチン接種でほとんどの被験者に抗体が出現し、重い副作用もみられなかったことは好ましい結果と言えるのではないだろうか。
今後の課題としては、今回は対象者が健康な大人に限定されていたが、子供・お年寄り・基礎疾患のある人が接種しても大丈夫かどうか、ワクチンの効果はどのくらい持続するのかといったことを検証していくことだろう。
現在行っている第3相臨床試験の大規模研究でどのような結果が得られるのか。
今後のワクチン開発が気になるところだ。