2020年7月14日火曜日

新型コロナの後遺症を知ると、迂闊に感染することはできない


新型コロナに感染したときの無症状者の割合をご存知だろうか。



日本での先行研究をみると、約30〜50%になるようだ(Nishiura et al., 2020; Russell et al., 2020)。



つまり、コロナにかかっても3人に1人は症状が出ないということになる。



意外と無症状者の割合は高いと感じた方々も少なくないのではなかろうか。



しかも、発症者の8割は軽症ということも報告されている(Wu & Mcgoogan, 2020)。



新宿区ではコロナにかかると10万円の見舞金を出すことを発表したが、こうなってくると自らコロナにかかって一儲けしようとするような人々も出てくるのではないかと懸念される。






しかし、ここで忘れてはならないのは後遺症の存在である。



コロナ感染から回復した後も症状が残ることがあるのである。



その実態を把握する上で参考になるのが、2020年のJAMAに掲載されたイタリアの研究である。



この研究では、新型コロナに感染して入院した143名の患者を対象として、発症後60日の後遺症について調べている。



対象者が入院患者なので一般集団よりも症状が重い人々が集まっている点には注意が必要だが、どの程度後遺症がみられるのかは気になるところである。






ではさっそく、その結果をみていこう。



・新型コロナの後遺症が全くみられなかったのは12.6%


・症状が1つ2つみられたのは32%で、3つ以上の症状がみられたのは55%


・44.1%の患者で生活の質が低下した


・後遺症としてよくみられたものは、倦怠感(53.1%)、呼吸困難(43.4%)、関節痛(27.3%)、胸痛(21.7%)






なかなかシビアな結果となっている。



新型コロナが重症化すると、ウイルス感染が認められなくなっても、9割近くで何らかの後遺症が残るということだ。



コロナが治れば元通りとはいかないようである。



感染者の8割が軽症といっても、残りの2割に入ったときの被害は大きなものとなりそうだ。日本でも死亡率が4.5%となっている点も忘れてはならない。



10万円の見舞金に目が眩んだり、早めに免疫をつけるために、自らコロナに感染しようとするのは控えたほうが良いだろう。代償が大きすぎる。



リスクを考えると、迂闊にコロナに感染することはできない。