2020年8月27日木曜日

新型コロナワクチンの効果がかなり限定的になるかもしれないことは覚悟しておいたほうがいいと思う

 


前回の記事で「新型コロナワクチンの開発状況」について取り上げたが、最近の研究を見るとその効果はかなり限定的になる可能性が出てきた。



香港大学の研究では、新型コロナの再感染症例が報告されている(Kai-Wang et al., 2020)。



もともと健康状態が良好な香港在住の33歳男性が発熱や咳などの症状が出たため、3月26日にPCR検査で陽性となった。



入院加療で一旦は治癒したものの、スペインからイギリス経由で香港に戻った際にPCR検査を受けたところ、8月15日に再び陽性となったのだ。



2回目に感染したときは無症状で抗体反応もみられなかった。ウイルスの遺伝子型も1回目に感染したときとは異なっていたようだ。




この症例からわかることは何か。



新型コロナに再感染することもあるというのはもちろんだが、ウイルスが変異しやすいということが挙げられる。



これからも変異していく新型コロナウイルスに対して、既存のタイプだけしか対象となっていないワクチンは果たしてどのくらい効果が得られるだろうか。甚だ疑問である。




まだこれだけではない。



新型コロナに感染しても抗体はそれほど長く持続しないこともわかってきている。



重慶医科大学の研究では、新型コロナの無症状者の40%・有症状者の12.9%は回復段階の早期で抗体が陰性だったと報告されている(Long et al., 2020)。



その他にも未査読の論文だが、ロンドン大学の研究では、新型コロナに感染しても中和抗体は40日をピークに減少傾向となることが指摘されている(Seow et al., 2020)。



先ほどの香港大学の研究と合わせて考えると、新型コロナに感染しても抗体は数ヶ月程度しか持たない可能性がある。



果たしてワクチンによってどの程度抗体が長続きするだろうか。甚だ疑問である。




とは言っても、良い知らせもある。



以前の記事にも書いたように、「T細胞反応」による免疫が働いている。



これによって、新型コロナに感染しても無症状や軽症で済んでいる可能性があるのだ。



さらに、第1波と第2波を比較したアメリカの研究では、第2波のほうがICU入室率や死亡率が低く、軽症化していることが報告されている(Vahidy et al., 2020)。



新型コロナの根絶は難しいが、今後さらに軽症化が進めば、最終的には一般的な「風邪」として収束していく可能性も考えられる。



悲観もせず楽観もせず、今後の経過を見ていこう。