COVID-19が流行して以降、この疑問が頭から離れなかった。
今や外出すれば、人との距離をとり、マスクやフェイスシールドを着用することが当たり前となっており、様々なガイドラインでもそのことが推奨されているが、実際このような感染対策がどのくらいの効果を持っているのかは明らかになっていなかったのだ。
何となく効果がありそうな感じはするけど、実行するからには確固たる根拠が欲しい。
意味があるとわかればこそ、感染対策へのモチベーションも上がるというものではないか。
そこで、私は意を決してこの問題について研究することにした。
と言いたいところだが、その前に世界の優秀な研究者が調べてくれていた。有難い。
参考になるのは、2020年のLancetに掲載されたマクマスター大学の研究である(Chu et al., 2020)。
この研究では、コロナウイルスに対するソーシャルディスタンス・マスク着用・目の保護の効果について調べた44件の先行研究(対象者25,697名)をメタ分析している。
単一の研究ではなく、複数の研究をまとめて評価してくれたことで、より研究の信頼性が高められているのは嬉しい。さすがLancet
では、この研究でわかったことをみていこう。
結果としては、以下のようになった。
・1m以上のソーシャルディスタンスで感染リスクは80%減少し、さらに1mずつ離れるごとに感染予防効果が2倍になる
・マスクの着用で感染リスクは82%減少する
・ゴーグルやフェイスシールドで目を保護すると、感染リスクは75%減少する
思っていたよりも効果があるというのが実感である。
マスクは他のウイルス感染では予防効果がはっきりしないという先行研究もあっただけにあまり期待していなかったが、これだけ大きく感染リスクを減らせることがわかったのは心強い。
また、目の保護でも感染リスクが大きく減少している。
スーパーではフェイスシールドを着用している姿がよくみられるが、もっと活用の幅を広げてみてもいいのではないか。
ソーシャルディスタンスが取りにくい通勤時などにも有効になりそうである。見た目の問題はあるが。
今回の研究で、意外と身近な感染予防対策に結構効果があることがわかった。
これは、日本の感染者数が世界的にみて少ない要因の1つかもしれない。
この結果を心の糧として、今後より一層の感染予防対策に励んでいきたい。