2020年11月18日水曜日

コロナ感染後のメンタル不調は決して稀ではない

 


コロナの第3波が到来している。



これからさらに気温や湿度が下がっていくことを考えると、感染者が今まで以上に増えていくことは想像に難くない。



今まで「コロナ不安」といえば、「コロナに感染したらどうなってしまうだろうか」や「他の人にコロナを感染させてしまったらどうしよう」など感染前の不安がメインだったが、今後は感染後のメンタル不調についても気になるところである。



そんな研究がないものかと思っていたら、見つかった。




毎度お馴染みのLancetからオックスフォード大学が論文を出している(Taquet et al., 2020)。



こちらの研究では、アメリカのコロナ感染者62,354名を対象として、感染後14-90日間のメンタル不調の発生状況を電子カルテのデータをもとに調べている。



果たしてどのような結果になったのだろうか。



それは以下の通りである。



・コロナ感染後14-90日間で、18.1%の人にメンタル不調が認められ、5.8%の人は初めてのメンタル不調だった


・初めてメンタル不調になるリスクは、インフルエンザと比べると2.1倍、他の呼吸器疾患と比べると1.7倍高かった


・メンタル不調の中では、不安障害、不眠、認知症を来すリスクが高かった



コロナ感染後3ヶ月で2割弱の人がメンタル不調を来すとは驚きである。



身体疾患でメンタル不調を来しやすいのは一般的な傾向であるが、インフルエンザの2倍というのはインパクトが大きい。




コロナに感染すると、周囲から隔離されて孤独感を抱きやすくなったり、その後の健康状態への不安を感じやすくなったりすることが、おそらくメンタル不調のリスクに影響を与えているのだろう。



コロナは身体だけでなくメンタル的にも厄介なウイルスである。



今回の研究をもとに、私も産業医面談でコロナ感染後の職員と接するときは、メンタル不調のリスクを念頭において対応に当たるようにしていきたい。