ついに私もテレワークするようになった。
もともと自宅から職場まで徒歩8分なのだが、テレワークでは朝起きて寝室から隣の書斎に移動すればよいので、移動時間は徒歩5秒。
一人暮らしなので誰からも作業を中断されることもなく、自分のペースで仕事を進められる。
つまり、圧倒的な移動時間の短縮と裁量権の拡大を実現できたわけだ。
しかし、何か違和感がある。
朝起きて、身支度して、仕事して、ご飯を食べて、寝る。
日常生活が全て自宅で完結しているのだ。
しかも、職場=自宅であるため、生活にメリハリがない。
昼休みにご飯を食べているときは自宅のように感じる一方、夜に仕事のことを考えているときは職場のように感じる。
仕事中でも気が散ったときはプライベートとなり、時間外でも勉強しているときは仕事モードとなる。
今の自分の過ごし方が、仕事なのか、余暇なのか。段々わからなくなってきた。
仕事とプライベートがあまりにもシームレスに切り替わり、日常生活がメビウスの輪と化しているのだ。
そんな生活の変化にすぐに適応できないのは私だけではないはず。
そこで、新型コロナウイルス感染症による働き方の変化とメンタルの関係について調べてみた。
参考になったのは、2020年のアデレード大学の研究である(Zhang et al., 2020)。
こちらの研究では、中国64都市に暮らす369名の健康な成人を対象として、新型コロナウイルス感染症発生後の働き方とメンタルヘルスについてアンケート調査を実施している。
具体的には、
・通勤しているのが27%
・テレワークしているのが38%
・休業しているのが25%
存在しており、これらの働き方のメンタルへの影響を回帰分析している。
その結果どのようなことがわかったかというと、
・休業している人は、通勤・テレワークしている人よりもメンタルが悪化しやすい
ということだ。
確かに、休業していれば感染への不安だけでなく、経済的な問題から将来の生活への不安につながりやすいだろう。
過去のメタ分析でも失業するとメンタルが悪化しやすいということが報告されており(Paul & Moser, 2009)、経済的なインパクトは大きい。
私も現在は非常勤雇用であるため、今の仕事を失ったらマンションの高額な家賃を払えず、路頭を彷徨うことになりかねない。想像しただけで夜風が身に沁みる。
新型コロナには一刻も早い終息を願うばかりだ。