2019年11月11日月曜日

バットマンの宿敵ジョーカーのように笑うのは恥だが、メンタル改善には役に立つ


最近、「ジョーカー」という映画を見た。




既にご覧になった方も多いと思うが、バットマンの宿敵ジョーカーの誕生秘話に焦点を当てた作品である。



詳しい内容はネタバレになるので伏せておくが、この映画で印象に残ったのはジョーカーの不気味な空笑である。



「ウヒャヒャヒャハ!」



あの笑い方だけで狂気の沙汰だと伝わってくる。あんな奴が実際にいたら、本能的に絶対近寄ってはいけない人物だとすぐにわかるだろう。






さて、映画を見終わって映画館から出る途中、またしても「ウヒャヒャヒャハ!」という笑い声がまた聞こえた。



一瞬ジョーカーが現れたのかと思ったが、大学生らしき若者が友達とふざけて真似しているのだとわかった。それにしてもよく似ている。



自分でもできるかと思ってすぐに真似したくなったが、レイトショーに一人で来ている立場を考えると、仮にうまく真似できたとしても周囲から冷やかな目で見られることは想像に難くない。



まして、うまく真似できずに意味不明な奇声を発してしまったら、社会から変質者という名の烙印を押され、私の築き上げてきた信頼は音を立てて瓦解し、奈落の底に突き落とされるだろう。



それは何としても避けなければならない。私は善良な市民なのだ。






そこで、はやる気持ちを抑え、車に戻ってから試してみた。



「ウヒャヒャヒャハ!」



できた!しかも、思ったよりも簡単だった。






調子に乗って色々試してみると、



小物の悪党風:「ヒャッ、ヒャッ、ヒャッ!」



王族風:「ハッ、ハッ、ハッ!」



悪い魔女風:「ク、ク、ク…」



など様々なバリエーションをつけることもできた。



さらに、やっていると何だか楽しくなる。



そのとき、私は思った。これは表情フィードバックが働いているなと。






表情フィードバックとは、表情を変えることでその感情が引き出されるというものである。



つまり、「楽しいから笑う」のではなく、「笑うから楽しい」というようなことだ。



この効果は研究でも報告されている。参考になるのは、2019年のテネシー大学のメタ分析である(Coles et al., 2019)。






こちらの研究では、表情フィードバックが感情に与える影響について調査した98件の先行研究をメタ分析しており、その効果について検証している。



その結果、



・表情フィードバックには小さな効果がある(d = 0.20, 95%CI 0.14 to 0.26)



ということがわかっている。






効果量は小さいが、手軽にできることを考えると、試してみる価値はあるだろう。



私も初めは大した効果はないだろうと高を括っていたが、実際にやってみると予想以上に楽しくなる。



長期的な効果までは期待できないかもしれないが、少なくとも短期的な効果は実感できた。



ジョーカーごっこは恥ずかしいが、周りが見ていなければ気にする必要はない。メンタルを改善したい方は役立ててみてはいかがだろうか。